【事例】
父親の所有する家に両親と弟の3人で生活し、兄は別の場所で暮らしていたのですが、父が亡くなったとたんに、兄が相続財産である父所有の家を明け渡すように言ってきました。
「母親と弟は相続財産を明け渡さなければならないのでしょうか?」
相続人が複数いる場合において、遺産分割が成立しその家を相続する者が決まるまでは、相続分に応じて相続財産を共有していると考えます。また、各共有者は共有物を持分に応じて使用でき、その範囲が定められていない限り全部について使用できます。つまり、共有者は共有物全部を使用する権利があるため、一部の相続人が相続財産である家を占有していても、他の相続人(兄)は占有している相続人(母、弟)に対して明け渡しを求めることはできないのです。
ただ、占有していない他の相続人にも権利はあるため、占有している相続人に対して不当利得を原因として賃料の支払いを求めることができますが、上記事例のように被相続人(父)と同居していた相続人が、被相続人死亡後も相続財産を占有する場合は、被相続人と同居相続人の間に、被相続人死亡を始期とする使用貸借契約(民法第593条)が成立していると考えることができると判例はしています。よって使用貸借契約は無償契約であることから、他の相続人は同居相続人に対して賃料損害金を請求することもできないと考えられます。









